新刊のご紹介

 

新刊のご紹介1
 一人の少女が、十字架に磔(はりつけ)にされていた。ルビー・クールだ。足下には、薪が積み上げられている。彼女を火あぶりにして、焼き殺すためだ。
 極悪非道の独裁者に向かい、彼女は冷ややかに言い放った。
 「あなたの革命の時間は、ここで終わり。ここからは、あたしたちの革命の時間よ」
 火刑直前で、絶体絶命の窮地。
 だが、ルビー・クールの逆襲は、ここから始まる。
 ルビー・クール・シリーズ第4弾<帝都大乱編II 奪還作戦編>、ここに開幕。
 ※本作品は、フィクションです。法律・法令に違反する行為を容認・推奨するものではありません。
<目次>
プロローグ 火刑直前からの逆襲
第一章 正体ばれて絶体絶命
第二章 火刑台からの逆襲
第三章 大混戦で絶体絶命
第四章 多勢に無勢で絶体絶命
第五章 包囲戦で絶体絶命
第六章 追いかけられて絶体絶命
第七章 路線対立で絶体絶命
第八章 マフィアのアジトで絶体絶命
第九章 アジトで襲われ絶体絶命
第十章 マフィア抗争で絶体絶命
第十一章 作戦開始で絶体絶命
第十二章 氷の魔女登場で絶体絶命
第十三章 氷魔法で絶体絶命
第十四章 敵のアジトで絶体絶命
第十五章 交渉失敗で絶体絶命
第十六章 攻城戦で絶体絶命
第十七章 魔法の吹雪で絶体絶命
第十八章 絶体絶命からの逆襲
エピローグ 絶体絶命の戦いは続く
 
出版社:Kindle版  :デザインエッグ社
出版年:2023/12/2:2024/1/1 
単行本:331ページ :418ページ
価格:¥1,250   :¥4,598
新刊のご紹介2
 赤毛の美少女ルビー・クールは、死刑台に、ひとり、立たされていた。
 首に、絞首刑用の太いロープをかけられて。両手は、後ろ手に手錠をかけられている。
 一万人を超える無法者たちが、「殺せ」「吊せ」と叫んでいる。少女の公開絞首刑を、早く見たいのだ。
 ルビー・クールは、冷ややかに言い放った。極悪非道の司令官に向かって。
 「あなたの遊びの時間は、もう終わり。ここからは、あたしの逆襲の時間よ」
 周り中、敵だらけ。味方は、一人もいない。
 まさに、孤立無援で絶体絶命。
 だが、この死刑台から今、ルビー・クールの逆襲が始まる。
 ※本作品は、フィクションです。法律・法令に違反する行為を容認・推奨するものではありません。
<目次>
プロローグ 絞首刑台からの逆襲 
 第一章 絞首刑直前で絶体絶命
 第二章 絞首刑台上で絶体絶命
 第三章 石打ち刑で絶体絶命
 第四章 一人対一万人で絶体絶命
 第五章 女殺し屋登場で絶体絶命
 第六章 女革命家登場で絶体絶命
 第七章 女工作員登場で絶体絶命
 第八章 特殊部隊突入で絶体絶命
 第九章 五百人に包囲され絶体絶命
 第十章 狙撃手に狙われ絶体絶命
 第十一章 交渉難航で絶体絶命
 第十二章 共闘作戦難航で絶体絶命
 第十三章 急襲失敗で絶体絶命
 第十四章 人質ピンチで絶体絶命
 第十五章 突入失敗で絶体絶命
 第十六章 連携失敗で絶体絶命
 第十七章 最終決戦で絶体絶命
 第十八章 敵の逆襲で絶体絶命
 エピローグ 新たな戦いの始まり
 
出版社:Kindle版   :デザインエッグ社
出版年:2023/10/29:2023/12/4 
単行本:273ページ :342ページ
価格:¥1,250   :¥3,762
新刊のご紹介3
 広場は、一万人の悪党どもで埋め尽くされていた。三名の制服少女が、絞首刑台の上に連行されてきた。後ろ手に、手錠をかけられて。絞首刑用の太い縄が、少女たちの首に、かけられた。少女の一人が、冷ややかに言い放った。悪党どもに。「絶望するのは、あなたたちよ。ここからは、あたしたちの逆襲の時間よ」
 帝都大乱編第三部(ルビー・クール・シリーズ第5弾)、ついに開幕。
 ※本作品は、フィクションです。法律・法令に違反する行為を容認・推奨するものではありません。
<目次>
プロローグ 処刑直前からの逆襲
第一章 救出難航で絶体絶命
第二章 脱出難航で絶体絶命
第三章 逃走難航で絶体絶命
第四章 替え玉作戦で絶体絶命
第五章 絞首刑台広場で絶体絶命
第六章 説得難航で絶体絶命
第七章 マフィアのアジトに殴り込み
第八章 マフィアのアジトで大暴れ
第九章 解錠難航で絶体絶命
第十章 救出作戦で絶体絶命
第十一章 迎撃作戦で絶体絶命
第十二章 透明魔女に絶体絶命
第十三章 仲間割れで絶体絶命
エピローグ 解放
 
出版社:Kindle版:デザインエッグ社
出版年:2024/2/18:2024/4/22 
単行本:283ページ :358ページ
価格:¥1,250   :¥3,938
<読者の声(帝都大乱II)>
依存もおもねることもしない。
自分の足で、しっかりと立つ。
その強さこそが彼女の魅力
(冬鵺)
 «逃げない、退かない、さがらない»。ルビー・クールが戦う際に思い浮かべる三か条である。本作の彼女は、磔にされ火炙りにかけられようとする危機的状況から開幕を迎える。しかし今回は違う。ひとりでの逆襲、革命ではない。殺し屋エルザ、革命家ダリア、自由革命党と労農革命党の戦闘部隊がいる。あたし「たち」の革命の時間──彼女の言葉からもそれがうかがえる。
 今作のルビー・クールは交渉役としての立場を取ることも多く、独立しながらも多のために行動する。例えば、市民に武器を取れと鼓舞する場面。男性たちに加工してある薪を持たせ、その妻には彼らにマフラーなどを巻くよう指示する。自分たちが立ち上がるだけではなく人々の心をも奮い立たせる、その堂々たる姿勢は何に根ざしたものなのか? マフィアのアジトを訪れる箇所で答えは鮮やかに浮き上がる。弱肉強食を信条とする幹部ジャッカルから次々と要求を突きつけられるが、ルビー・クールは厳然と拒絶し、誰のものにもならないと宣言する。「あたしは、誰にも依存しない、独立した自由な女だからよ」そして戦うのだ。どんな舞台であっても。依存もおもねることもしない、自分の足でしっかりと立つ。その強さこそが彼女の魅力だ。
 今作の強敵は氷の魔女マリー、無声魔法の使い手である。幻の姿となって遠方から氷柱で攻撃を仕掛ける、その威力たるや心臓発作も引き起こす恐るべきものだ。近付けない相手に対してどう組み合うのか、どこを弱点として策を練るか、決して無敵や万能ではないルビー・クールたちの立ち回りから目を離せない。純粋な強さの戦いだけではない、派手でもありながらいぶし銀の熱戦が繰り広げられる。ルビー・クールに思い入れを見せるエルザも、次回作以降でどうなるのかと人物的な楽しみもある。
 「戦わなければならない。生きるために」どこまでも強く立ち向かう。ルビー・クール。彼女は、これからも逆襲を続けていく。
 
派手になったバトルシーンは見もの。緊迫した駆け引きも。
(絵山イオン)
 今回もルビーと無産者革命党の戦いが続きます。
 元々ルビー一人で抗っていましたが、前巻でエルザやダリアなどの仲間が増えたことで、戦術が広がり派手になったバトルシーンは見ものです。
 それでも無産者革命党員の数は多く、攻略に苦戦します。
 それに、ルビーたちの戦線は各々の目的が合致して成り立っているので、離反をするリスクが常にあります。いつも前線で絶対絶命を乗り越えてきたルビーが頭を抱えながら仲間の仲を取り持つなど、違った姿が見えて新鮮です。
 戦力を増やすために、命を狙われ一度は危機に追いやられたマフィアとの交渉をするなど手段を選びません。交渉がすんなり上手くゆくわけもなく、マフィア本部でも緊迫したバトルや駆け引きがあり、こちらも面白いです。
 戦力を増やし、ルビーたちが優勢かと思いきや、無産者革命に協力している魔女マリーの広範囲の氷魔法に苦戦します。
 ルビーがいつも使っている炎魔法とは違い、氷魔法は対象者を凍らせてしまうもので、心肺停止にさせてしまう厄介なもので、受けたら死に直結します。
 マリーの氷魔法にルビーたちは絶体絶命に陥ります。
 それでも、ルビーは勝利を諦めず、エルザやダリアと共に強敵マリーと戦います。
 厄介な氷魔法をルビーはどう対策するのか?
 ルビーたちと無産者革命党員の決着は!?
 数々の絶体絶命を乗り越えてゆくルビーと仲間たちの活躍、是非、手にとってはいかがでしょうか。
 個性豊かなメンバー達が
共に戦場を駆ける熱い展開
 (しおんぬ)
 前回の帝都を巻き込んだ乱戦は更に規模を増し、本作ではより本格的な革命へと状況が移って行きます。今までなら乗り越えられなかったような絶体絶命のピンチであっても、ここまでに共闘できる仲間を増やしながら生き残ってきたルビーだからこそ、新たな活路を切り開いていける。これまでのシリーズを通して出会ってきた個性豊かなメンバー達が、一筋縄では上手く団結できなくとも、共通の目的や利害の一致をきっかけに共に戦場を駆ける熱い展開が続きます。
 戦う術を持たない者達を蹂躙する悪党に怒りの炎を燃やし続けてきたルビー。今作では単純に彼らを守るというだけではなく、家族や大切な人々を守る術を教えて共に戦い、一緒に革命の渦中へと身を投じていきます。一般市民を鼓舞する彼女の姿はまさに革命のカリスマ的存在であり、赤く燃える髪が雪降る街の中で踊る姿は、力や脅しに屈しない闘志の象徴のようです。
 常にブレることなく、芯の通った善性と前に進み続けるルビーの姿勢。そして、その結果今までに乗り越えてきた成果の全てが彼女の強さの裏付けとなり、彼女自身の心を強く支えるだけでなく、周囲の人々の心に革命への闘志を焚き付ける要因にもなっています。そうして広がって行く革命の共闘前線の輪がどこまで進むのか、今後の展開も見逃せません。
 
ピンチ・ピンチ・ピンチ!!(木下夜留)
 磔、そして火あぶり。今回も開幕からルビー・クールは紛れもない死の瀬戸際に追い詰められている。機転を利かせ、勇気と知略をもって活路を開く彼女の大活劇は前作から変わらず勇壮で壮絶。常に死と隣り合わせでありながら、信念に微塵も背くことない一貫した生き様には揺らがない頼もしさがある。
 立て続けに災厄が降りかかる波乱万丈なストーリーは、メリハリが利いた構成と緩急のついた文章表現によってスムーズに読み進めることができる。読み手の自分まで場に立ち会っているようなスリリングな銃撃戦・戦闘シーンに加え、個性豊かな登場人物の心理戦も緻密に計算されていて読み応えがある。単なるバトルだけでなく共闘関係を結ぶといった側面からのピンチも数多く、繰り返される「絶体絶命」の言葉は現れるたびにその重みを増していく。まずい、まずい、まずい。心の内で何度も焦りながら、ルビーが戦う際の心構えを忘れることはない。
 今作でとくに心惹かれたのは、ルビーとエルザ、ダリア三人の掛け合い。目的のために手を組みつつ一枚岩とも言い難い、間違っても友人関係などとは呼べない三人の少女たちだが、終始緊迫した雰囲気が続く本編の合間に挟まれた他愛ない会話はどこか可愛げがあって憎めない。正義のもとに行動するルビーは勿論、設定だけを見れば物騒な位置づけにあるエルザも、ふとした瞬間に少女らしい一面をのぞかせる。ダリアもルビーにとって気を許すことのできない相手ではあるが、聡明で少々毒を含んだユーモアをも併せ持っていることが言動の端々からうかがえた。三者三様の魅力を、物語の本筋から外れることなく自然に描き出している作者の手腕が素晴らしい。
 「生きるためには戦わなければならない」「勇気と知恵さえあれば、誰もが戦える」
 無数の死が積み重なる戦場で、どこまでも力強い台詞を口にするルビー・クール。誰より彼女自身が体現しているからこそ説得力のある言葉だ。
<読者の声(帝都大乱)>
圧倒的な数の敵を前に
どう切り抜けていくのか
息を詰めて読み耽る
(冬鵺)
 三たび訪れる、逆襲の時間──下層下級貴族にして娼婦でもある主人公ルビー・クールの、革命家としての飛翔を示すのがこの〈帝都大乱編〉に当たる。冒頭で彼女は一万人を前に、絞首刑に処されそうになる。前作までも大変な人数を相手取ってきたルビー・クールが、圧倒的な数の敵を前にどう切り抜けていくのかと引き込まれる。そして拉致された孤児院の子供10人を助けるべく、彼女は奮起し、戦いへと身を投じてゆくのだ。孤児院の子供たちへの思い入れや革命家となった友人・アンジェリカも彼女の人物像を深堀する要素として見逃せない。
 前作までとは違うのがルビー・クールの戦い方である。敵となる人数が多すぎるため確実に仕留める手法はとりにくく、負傷させたり武器を移動させないようにしたりと工夫を強いられる。また、何より大きな違いは味方の存在だ。前作・前々作に登場しルビー・クールを苦しめた人物たちが力になる。ナイフを手に戦う「ジャッカルの娘」エルザ、強力な魔法を操るダリア。革命に携わる勇士たち。既刊の読者にとっても嬉しい展開であり、戦いが鮮やかに彩られる。
 今回の敵の中でも強大な人物は、ローズという共和国の女性工作員だ。舞うように銃撃すら回避し、ダリアを圧倒する魔法を用い、ルビー・クールやエルザとの肉弾戦にも隙がない。戦闘の場面では本当に勝てるのかと、読者は息を詰めて読み耽ることになるだろう。ことさらに、作品の幕開けである処刑を思わせる危機は絶望感をオーバーラップさせてくる。詳しくは語れないが、ローズのその攻撃については実際に読んで確かめてほしい。
 個人対多人数から、多人数対多人数へ。ひとりで戦う逆襲者から、よりスケールの大きな世界の革命者へ。これまではひとりで戦ってきたルビー・クールの、新たな強さを作中に見出すだろう。続刊が楽しみである。
 
巨大な組織対一人の少女。
圧倒的に不利な状況を
乗り越えてゆく
(絵山イオン)
  今作も読者にスリルを提供してくれる展開で楽しく読めました。
 今回の帝都大乱編では前作からキーワードとして出てきた<無産者革命党>がルビーの敵として立ちはだかります。
 巨大な組織対一人の少女。
 前作よりも圧倒的に不利な状況を時に女の演技で時に派手なバトルで乗り越えてゆきます。
 そして、前作のラストで再会したあのキャラクターも活躍し、絶対絶命なバトルアクションが更に面白くなってゆきます。
 オープニングの危機的状況から何故そうなってしまったのか、どうルビーが乗り越えてゆくのか。本編ではオープニングの会話の合間にルビーが何を考え、どう行動したのかよく分かります。
 今作で私がおすすめするのは、沢山の危機を乗り越えてきたルビーの過去が語られることです。
 ルビーのことをもっと詳しく知りたいのであれば、是非、今作を手にとっては如何でしょうか。
 
 生き残るために戦い続ける姿は何よりも熱く、そして美しい
(しおんぬ)
 毎回絶体絶命のピンチから始まる本シリーズですが、今回はその中でもとびきりのピンチから開幕します。「帝都大乱編」というタイトルにふさわしく、かつてない規模の群衆の中での窮地から、自分だけではなく孤児院の子供たちの命も救うために、ルビーは一人で奮闘します。この世界での格差の重みを改めて感じさせられる部分も多く、ルビー自身も心を痛めながら、それでも生き残るために戦い続ける姿は何よりも熱く、そして美しいです。
 これまで以上のピンチに、ルビーは何度も心がくじけそうになります。今までのシリーズにはないほど、ピンチが来る度に焦りや恐怖を感じ、それをなんとか振り払うように戦い続ける姿は非常に健気で、読んでいて彼女を応援したくなりました。
 また、今回の大立ち回りでは、過去のシリーズでの経験を活かした戦法もいくつか取り入れられており、シリーズを通して読んでいる人にとってはより熱い展開です。過去に何度も窮地に追い込まれ、それを試行錯誤の末にかい潜って来た今のルビーだからこそ、ここまでやれるのだという説得力があります。
 冒頭の大立ち回りもハラハラドキドキの展開ですが、その後も大勢の人々を巻き込んで、事態は大きく膨らんでいきます。まさに帝都をかけた大乱戦。意外な共闘者が現れたりと、今まで以上に心躍る展開のオンパレードなので、過去のシリーズを読んでいる人には是非とも読んで欲しい作品です。
 
格好良いだけで終わらない、精悍だが人間らしさに満ちた英傑
(木下夜留)
 開幕から容赦なく窮地に追い込まれる主人公、ルビー・クール。
 気を抜けばいとも容易く死んでしまうシビアな世界で、彼女は弱者を救い自らの高潔な魂を護らんとして修羅の道をひた走る。世の動乱に巻き込まれたルビーの過酷な運命は、しかし彼女自身が優しさと正義感によって切り開いていくものでもある。
 幾度となく危機的状況に陥りながらも、決して絶望せず生き抜くため足掻き続けるルビー。純粋な格闘術に魔法など多彩な能力を武器として戦う彼女だが、なにより特筆すべきは強靭な精神力と明晰な頭脳だろう。一瞬たりとも油断できない命のやり取りの中にあって、恐怖に押し潰されることなく最善の手を打ち重ねる勇姿に自然と彼女を激励する気持ちが湧き起こる。
 重厚な世界観と丁寧に描写された戦闘シーン、テンポ良く展開される物語は読者に寄り添いつつ残酷な現実を見せつけてくる。困難へ真摯に立ち向かうルビーと、それを阻むこともあれば共闘することもある魅力的なネームドキャラクターたち。彼ら彼女らもまたルビー同様それぞれの思惑を抱き、スタンスは違えども真剣な思いを持って深く関わっている。
 これでもかと言わんばかりに畳みかけられる理不尽の連続。降りかかる火の粉を払い、なんとか生還したと思いきや新たな障壁が目の前に立ちふさがる。思わず泣き出したくなるようなピンチに、けれどルビー・クールは逞しく苦難を乗り越えていく。どんな逆境に立たされても、強い意志で艱難辛苦を突破する姿には、ありとあらゆる年代・立場の読み手が勇気づけられることだろう。終盤、敵対していた人物の悲痛な叫びにルビーが投げかけた叱咤の言葉は、作品を通じて読者をも鼓舞するようなパワーがある。
 痛みを引きずってなお前進するルビーの活躍に引き込まれ、華麗なバトルよろしくあっというまに読み終わってしまった。今後が気になるキャラも多く、高揚が持続したまま次の巻へと手を伸ばす。
<読者の声(帝都大乱III)>
前を向いて微笑む彼女は
新しい人生の一歩を踏み出す。
爽やかな読後感
(冬鵺)
 テクニカルな一作である。主人公ルビー・クールのみならず、総括的な視座からも革命全体を見渡した意欲作といえる。本作が最も主人公の少女・生徒らしさの表れたエピソードではないだろうか。
 というのも、まず、彼女が替え玉となって救う貴族令嬢たちが同じ学園の生徒なのである。最初は疑心暗鬼だった少女たちと共闘し、「同じ制服だから」と言われ同じ言葉を返す……そんな心の交流をする箇所が繰り返し登場する。今回のルビー・クールは学園の制服で活躍するのも印象深い。
 ダリア・エルザと三人で令嬢たちの代役をする場面では、魔法の炎を放ちながら悲鳴を上げるなどコミカルなところもある。他にもエルザが叫ぶ「ここからは、パーティーの時間よ!」は言うまでもなく主人公のパロディであり、笑いも交えながらテンポ良く進む。今作はここまでで3割を超え、冒頭へ戻る。重きを置く場面の多さがうかがえる、前作までとは異なる構成だ。
 緩衝の難しさが際立つ「絶体絶命」があちこちで立ちはだかってくる。信用してくれない貴族令嬢たちとの行動、睡眠薬入りワインで敵を一網打尽に拘束する、警察へ差し入れし陰ながら士気を上げたり共和国の勢力を引かせる、ダリアの部下だが金貨に目が眩む男デニスの危険など、ルビー・クールの知略や立ち回りが光る。勿論、戦いも力強く華麗に繰り広げる。油断や慢心をしない、透徹した戦いぶりだ。ちなみに今回敵対する魔法少女はソフィー、透明化や魔法消去などを用いる魔法暗殺者である。ラスボスではないが、魔法を含めた戦いは読み応えがある。
 〈革命家〉ルビー・クールは最後、〈実業家〉として店を持つ。革命を経て手にした金銭は娼婦からの卒業に充分なもの。涙する彼女はひとりの少女の姿を取り戻す。親友のエメラルドが迎えに来ている、少女としての帰還、少女としての生活の始まりなの。前を向いて微笑む彼女は新しい人生の一歩を踏み出す。爽やかな読後感である。
 
読者を飽きさせない展開が続く
どうやってこの危機を
ルビーは乗り越えてゆくのか
    (絵山イオン)
 絶体絶命ルビー・クールの逆襲〈帝都大乱Ⅲ 救出作戦編〉は、今回も無産者革命党との戦いです。ただ、今までの戦いとは違い、ルビーが通う学園の貴族生徒を救出するお話が中心になっています。ルビーたちのド派手なガンアクションも小規模な戦いが幾度も繰り広げられるため、前作とは違う魅力があります。
 派手なバトルだけではなく、生徒が捕らわれているホテルに策を使って難なく潜入したりと、頭脳戦も繰り広げられています。
 戦わずスムーズに救出……、できるわけもなく、救出するはずの生徒たちと激しめな口論をしたりと読者を飽きさせない展開が次々と続くので、どうやってこの危機をルビーは乗り越えてゆくのだろうかとワクワクしながら読めました。
 ホテルでの一件だけではなく、おなじみのギャングとの抗争も展開されていて、ルビー、ダリア、エルザの三人が活躍します。
 今回、各キャラクターの個性が出る戦闘が多く出ているのと、ルビーがチーム戦に慣れてきたこともあり、前作よりもクセのある仲間の扱いが上手くなった気がします。ルビーの成長を感じました。
 中盤でギャングが隠していた大金を発見し、味方だった人物が金に狂う姿も人間味があるなと思いました。
 今作で無産者革命党との一週間に渡る長き戦いが決着し、ルビーの辛い過去も解決します。
 終盤でルビーの新たな姿が見えたり、不穏な展開も残しつ、次巻が楽しみな終わり方でした。
 是非、気になる方は手に取ってご覧ください!
 
心を動かされる
真っ直ぐで芯の通った行動
(しおんぬ)
 今までこのシリーズでは、アンダーグラウンドで働く者達や身分を隠して暗躍する人々、平民ながら自由を得るために革命に参加して戦う者達の姿が描かれてきました。主人公のルビーも自分の身分や経歴を隠しながら必死に戦い続けていますが、今回は初めて同じ学校に通う貴族令嬢達との関係が描かれます。
 貴族の中にも身分の差という壁は大きく、前線で戦い続けている上に複数な立場にあるルビーには貴族令嬢とすぐに協力関係や信頼関係を築くことが難しい状況です。善意で彼女達を救おうとしてもなかなか上手くいかず苦心する様子は見ていてつらい部分もあります。しかし、それでも彼女の真っ直ぐで芯の通った行動と態度によって、貴族令嬢達も徐々に彼女への警戒心が信頼を得ての共闘へと変わって行く様子には心を動かされます。
 また革命の火種が大きくなるにつれて戦いの規模は大きくなり、犠牲者も増えていきます。初期では人を殺したことのなかったルビーも徐々に虐殺とも言えるような惨状に立ち会う機会が増え、その分だけ絶体絶命な場面でも冷静さと自信を欠かなりました。それでも、最初から武力に訴えずに交渉を行おうとする姿勢や、悪党以外の一般市民の命はなるべく救おうとし続けるところ、そして将来の国力低下まで危惧して無為に殺しをし過ぎないようにと考える面に彼女の変わらない高潔さが見えます。
 多くの死線を潜り抜けて生き延びてきたルビーには、シリーズ初めの頃の自身を奮い立たせて戦いに身を投じる少女から、貫禄を感じさせる「不死身の魔女」の異名にふさわしい革命家の女性へと成長している様が非常に印象的でした。
 
多才な革命家と交錯する謀略
(木下夜留)
 救出作戦。文字通り他者を救うために奮闘するルビー・クールだが、正義の味方ではない彼女の働きはことごとく数多の妨害に遭う。敵だけではなく味方にさえ疑われ、救うべき対象からも命を奪われそうになり、それでもルビーは勇ましく前を向き続ける。まるで、彼女の辞書に後退の文字はないとでも言うように。
 魔法にナイフ。鋼鉄の傘や、シンプルだが破壊力抜群の鉄の棒での殴打。銃撃戦。
 登場人物たちは多種多様な武器と手段で戦闘を繰り広げ、誰もが生き延びることに必死だ。複雑な心理戦は個人の欲望にも絡み、策略と陰謀の渦が惨劇をより苛烈にする。
 立場や思想の違いはあれど、全員が自分の欲望や本能へ忠実に足掻き続ける過酷な世界。
 そして重厚なアクションと緻密な情報戦は、今回も随所で物語を盛り上げてくれる。
 「下々の者を守るのが、貴族の神聖なる責務です!」「女を守るのは、男の責務だ!」
 ときに相容れず譲れない信念がぶつかることもあるが、彼ら彼女らの己が信条を貫き通す姿は読み手の胸へ確かに響くだろう。ときには自らの命を絶とうとするほどの絶望へ追いやられることもあるが、ルビーの気高くも慈愛に満ちた言葉が救いの光となる。
 この「救われた側」と「救った側」の関係は、作中で示されるルビーの過去と照らし合わせることでさらなる感動を呼び起こしてくれる。不思議な運命の巡り合わせは、人と人が助け合い、支え合う美しさを示唆しているのかもしれない。
 今作では「帝国魔法学園」の少女たちも多数活躍する。誇り高い中級貴族令嬢に、某殺し屋を彷彿とさせる、少々危険な倫理観の女学生。強い個性は抗いがたい輝きで読者を先の展開へ夢中にさせる。そうして引き込まれた物語が進むにつれて際立っていく、ルビーの深い洞察と推理力。彼女の思いがけない特殊技能もまたひとつ明らかになる。
 幾度となく死線を越えて、その度にタフな肉体と持ち前の精神力で危機を脱するルビー・クール。強く優しく誇り高い彼女は、悪逆と硝煙が漂う戦場でこそ、傑物としての魅力を最大限に解き放つ。ルビーの幸せを願う一読者としては、平和で穏やかな日常を手にしてほしいと気持ちと、これからも戦場での鮮烈な戦いぶりを見届けたい願望、両方を抱いてしまうのが悩ましいところだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

 
 

著者プロフィール

 蛇崩通(じゃくずれ とおる)
 東京都世田谷区生まれ。
 
 『絶体絶命ルビー・クールの逆襲』シリーズの作品は、アルファポリスのミステリー部門で、3回、1位となった。

 『漫画版:絶体絶命ルビー・クールの逆襲<帝都大乱編>絞首刑台からの逆襲』(現在連載中)は、2023年12月と1月に、アルファポリスの少年向け漫画部門で1位となる。
 
 『絶体絶命ルビー・クールの逆襲<革命編>』は、2023年8月13日(日)14日(月)に、アマゾン売れ筋ランキング:無料タイトルの「ミステリー・サスペンス・ハードボイルド(Kindleストア)」部門で1位となる。

 『絶体絶命ルビー・クールの逆襲<帝都大乱編>』は、2023年11月4日(土)5日(日)に、アマゾン売れ筋ランキング:無料タイトルの「ミステリー・サスペンス・ハードボイルド(Kindleストア)」部門で1位となる。

 『絶体絶命ルビー・クールの逆襲<帝都大乱II 奪還作戦編>』は、2023年12月16日(土)17日(日)に、アマゾン売れ筋ランキング:無料タイトルの「ミステリー・サスペンス・ハードボイルド(Kindleストア)」部門で1位となる。
 
 『暗闇を撃て』は、2024年3月23日(土)24日(日)に、Amazon 売れ筋ランキング: 無料タイトルの「ミステリー・サスペンス・ハードボイルド(Kindleストア)」部門で1位となる。
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

著作紹介

 
 
著作紹介1
 『絶体絶命ルビー・クールの逆襲<孤立無援編>』
 ある夜、赤毛の美少女ルビー・クールは、運悪く殺人現場に遭遇し、女殺し屋の顔を見てしまう。目撃者を消すため、女殺し屋、悪徳刑事、マフィアらが、次々とルビー・クールに襲いかかる。孤立無援の中、絶体絶命の窮地に何度も陥るルビー・クールは、果たして、最悪の夜を生きのびることができるのか。
 ※本作品は、フィクションです。法律・法令に違反する行為を容認・推奨するものではありません。
<目次>
プロローグ 絶体絶命ルビー・クールの逆襲
第一章 殺人現場で絶体絶命
第二章 殺し屋に襲われ絶体絶命
第三章 刑事に襲われ絶体絶命
第四章 男百人に襲われ絶体絶命
第五章 マフィアに脅され絶体絶命
第六章 魔法攻撃で絶体絶命
第七章 ゲート閉鎖で絶体絶命
第八章 武装集団に襲われ絶体絶命
第九章 総攻撃で絶体絶命
エピローグ 学園内で絶体絶命
 
 
 
 
 
出版社:Kindle版 :デザインエッグ社    
出版年:2023/9/2 :2023/10/2

単行本:135ページ:168ページ
価格: ¥500  :¥1,881 
 
 
 
 
<読者の声>
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アクションあり魔法ありの戦いぶりは血湧き肉躍る
(冬鵺)
 ルビー・クールはひとりの娼婦としての名前、偽名である。彼女の表向きの顔は帝国魔法学園に通う生徒、下層下級貴族の長女だ。燃えるような赤い髪に笑わない姿。不屈の少女、ルビー・クールは物語の始まりから終わりまで怒涛の危機に曝される。
 本作はルビー・クールがより強くなろうと決意するきっかけとなる事件である。殺人事件を目撃してしまったことで少女は数奇な運命に巻き込まれる。平民区から貴族区へ逃れようとするところへ銃を手に襲い来る刺客たち。貴族区と平民区を分けるゲート、それは象徴的であり明確な壁だ。元より春を売る彼女はその際、社会的に頼れるものがほとんどない。すでに孤立無援の立場だ。父や妹には娼婦の顔を絶対に知らせないこともさることながら、誰かがなんとかしてくれるという状況には一切ない。衝撃を受けようとも現実を睨みすえる。この強さは一貫して彼女に膝を折らせない。そんな彼女の努力にも関わらず、起きた事件の説明をしてもまともに取り合ってもらえない。続く〈革命編〉でも、母や親友に信じてもらえない。けれども彼女は力強く、ひとり立ち向かう。
 〈革命編〉では特注の日傘を武器とした彼女だが、今回は持ち出した火掻き棒を手にしている。いくら父から銃の手ほどきを受け学園で魔法を学んでいても実戦とは別のものだ。しかしルビー・クールは、初めての殺人を犯す本舞台でもうろたえない。躊躇もしない。
 今回はルビー・クールに変装して暗殺した「ジャッカルの娘」なる暗殺者の少女と戦うことになる。この系譜は〈革命編〉のダリアへと続くものでもあり、アクションあり魔法ありの戦いぶりは血湧き肉躍る。双方のエピローグを読んだ読者はニヤリとさせられることだろう。
 
 カッコいい女の子が緊迫したバトルを繰り広げる物語
(絵山イオン)
   妹の学費を稼ぐために、娼婦として身体を売る主人公、ルビー・クール。
 女子トイレで何者かに暗殺されようとしているところで、場面が変わり、何故そのような経緯に至ったか描かれます。
 娼婦の仕事で金持ちの家にやってきたところ、運悪く依頼人が暗殺されるという事件に遭遇してしまいます。
 これがルビー・クールでなければ、被害者Aのようになっていたのですが、この“絶対絶命”の状況をあの手この手で切り抜けてゆくのが、この物語の面白さだと思います。
 また、この物語は【一難去ってまた一難】という言葉が似合う作品で、ピンチを切り抜けたとしても、平穏が訪れることはなく、間髪入れず次の“絶対絶命”が訪れます。
 仕事中に事件に巻き込まれ、機転を利かせて生き残ってしまったがあまりに、“事件の目撃者”としてギャングの組織に命を狙われる。プロローグで描かれていたトイレの一件もルビーの依頼人を殺害した犯人との戦闘シーンで、物語が進んでゆくごとに冒頭のシーンにつながったときは、ワクワクが止まりませんでした。
 こういった緊迫のあるバトルものでは、苦戦しつつも宿敵を倒すというのがセオリーなのですが、ラストに意外な展開が待っており、驚きました。
 カッコいい女の子が緊迫したバトルを繰り広げる物語、是非、手に取って読んではいかがでしょうか。
 
 絶体絶命な上に孤立無援という大ピンチが何度も
(しおんぬ)
 前回に引き続き、絶体絶命な状況をテンポよく機転を利かせて乗り越えていくルビーの姿に爽快感を覚えるストーリーでした。特に今回は作中でより細かくルビーの置かれている立場や家族関係、住んでいる街の状況などが明かされていくので、前作以上に世界観に没入できるところが非常に魅力的です。ルビーの背景事情がわかってくるに連れて、より彼女の気高さや優秀さ、そして家族への愛情深さが伝わってきます。
 またこれまでとは異なって、次々に別の新たなる敵と戦っていくのではなく、マフィアとの抗争の中で強敵となる1人の少女と何度も邂逅しては高度なバトルを繰り広げるところに引き込まれました。ライバルというわけではないのですが、互いに一歩も譲らずに魔法も武道も戦略も駆使して、あらゆる戦法で戦い合う姿は見どころ満載です。
 今作のタイトルの通り、絶体絶命な上に孤立無援という大ピンチが何度も訪れますが、窮地に立たされるほどに「ここでは死ねない」と燃え上がるルビーの強い意志に惹かれます。その根底にいつも自分自身だけではなく、家族や目の前の救える命が生き残る理由としてあるところにルビーの高潔さが表れているところが非常に魅力的です。
 
著作紹介2
 『絶体絶命ルビー・クールの逆襲<革命編>』
 土曜日の午後。百名を超えるテロリストに、市民ホールは占拠された。人質の市民は千名。テロリストたちは、見せしめのために、人質の市民たちを殺し始めた。
 「ごめんなさいね。母親なのに、あなたを守れなくて。だけど、死ぬときは一緒よ。一緒に、死にましょう」
 「違うわ、ママ。あきらめるには、まだ早すぎる。なぜなら、生きているかぎり、戦える。たとえこの両手に、なにも武器がなくとも。戦う勇気と知恵さえあれば、戦える」
 あたしはまだ、生きている。この命、燃え尽きるまで戦う。
 赤毛の美少女ルビー・クールは、立ち上がった。無数の銃口を向ける男たちに向かい、冷ややかに言い放った。
 「あなたたちの革命の時間は、もう終わり。ここからは、あたしの革命の時間よ」
 孤立無援で、絶体絶命。
 だが、ルビー・クールの逆襲は、ここから始まる。
 ※本作品は、フィクションです。法律・法令に違反する行為を容認・推奨するものではありません。
<目次>
プロローグ 絶体絶命からの逆襲<革命編>
第1章 強盗団に襲われ絶体絶命
第2章 魔法少女対決で絶体絶命
第3章 暗殺計画で絶体絶命
第4章 女囚転落で絶体絶命
第5章 脱獄失敗で絶体絶命
第6章 銃殺直前で絶体絶命
第7章 革命対決で絶体絶命
第8章 信じてもらえず絶体絶命
第9章 爆弾発見で絶体絶命
第10章 狙撃手発見で絶体絶命
第11章 魔法対決で絶体絶命
第12章 武装集団突入で絶体絶命
第13章 孤立無援で絶体絶命
第14章 逆襲のルビー・クール
第15章 追撃のルビー・クール
第16章 いちかばちかで絶体絶命
エピローグ 学園内で絶体絶命?
 
出版社:Kindle版    :デザインエッグ社
出版年:2023/7/29:2023/8/21
単行本:275ページ :298ページ
価格:¥1,250   :¥3,278
 
<読者の声>
 
絶体絶命
(絵山イオン)
  絶体絶命。
 タイトルやあらすじでも使われている四文字。
 物語の冒頭から緊迫とした展開から始まり、ページをめくりたくなる工夫がされていて面白かったです。
 突拍子もない場面でも、読者に分かりやすく主人公の身の上や状況を説明してくれているので、余計な部分はそぎ落とし、面白さだけを追求した物語だと感じました。
 どの場面でも主人公のルビーは≪絶対絶命≫な環境に置かれているのに、彼女は機転を利かせてこの場を切り抜けてくれるという安心感があります。
 身の危険にさらされても怯えるでもなく、助けを求めるのでもなく、自分の力で運命を切り開くルビーの姿勢は、とてもカッコいいです。
 スリルを求めている方にお勧めな小説だと思います。
 刺激を求めている方、是非手にとってはいかがでしょうか。
 
一難去ってまた一難
(冬鵺)
  一難去ってまた一難。ルビー・クールの物語を表すに相応しいのはそんな言葉だ。各章のタイトルを見ても居並ぶ「絶体絶命」の数々にまずは圧倒される。そしてその題名どおり、息つく暇もないほどに次々と彼女には災難が降りかかる。「まずい、まずい、まずすぎる。」何度もそう思いつつも、彼女は決して諦めない。立ち止まることはない。
 ルビー・クールは下級貴族の家に生まれた娘である。世間体ゆえに手に職をつけることは許されず、自分と妹の学費のため、家族公認の上で春をひさいでいる。そのような境遇でありながら、彼女に悲嘆の色はない。常に次の一手を考え動き続ける、不屈の少女。それがルビー・クールだ。その姿勢は常に凛として、ハードボイルドささえ漂わせている。
 拘束された場面では自分たちが助かる術を考え、続いては接近戦を強いられ襲撃者の男たちを退け、そして魔法少女に対してもその弱点をつこうとする。あらゆる種類の困難を乗り越えてゆく彼女は、しかし万能というわけではない。怪力でもなければ天才魔法使いでもない。だからこそそこに、内に秘めた強さと信念を感じることができるのだ。
 文章は平明で読みやすく、また動作のひとつひとつに細かく説明がなされていて想像しやすい。内面からルビー・クールに寄り添うのではなく、彼女のなすことや取り巻く環境などの解説でくるむようにして描写している。全体としてスピード感がありつつ、丁寧に進めている印象を受けた。気が付けば手に汗握りながら、ルビー・クールとともに絶体絶命の危機へと立ち向かっている。それがこの『絶体絶命ルビー・クールの逆襲』シリーズの魅力なのかもしれない。
 
理不尽な暴力には徹底的に反抗する。
それが、彼女の生き方の美しさ
(しおんぬ)
 非常にテンポよく展開が進み、次々に主人公のルビーを危機が襲っては機転を利かせて乗り越えていく物語に引き込まれます。今度は何が起きるのか、ルビーは次に何をどうやって生き延びるのか。そんなワクワクドキドキが続き、読んでいる内につい先が気になって、気付けばどんどん読み進めていました。
 ルビーの人柄も魅力的で、頭の回転が速く運動神経が良いというだけではなく、家族や他者の命を無下にしないところに共感できます。どんなに治安が悪く生きにくい社会の中にあっても、自分にとって大事な物をしっかりと心の軸として持っていてぶれない姿に惹かれました。 
 ルビー自身も社会に対して不満や変えたいという革命の心を持ってはいますが、そのために誰かを踏みにじらずに生きようとする真っ直ぐさが大きな魅力だと思います。特に理不尽な暴力には徹底的に反抗する力強さが、ルビーの容姿だけではない、生き方の美しさだと感じました。
 最初の方で世界観の説明などがあるわけではないのですが、読み進めていく内にルビーの置かれている状況や社会の情勢などが次第にわかってくる部分も、読んでいて面白かったです。話の展開は速いですが、何が何だかわからずに読者が置いていかれてしまうということはなく、段々と見えてくる景色が広がってくるところも楽しめるのではないかなと思います。
 
戦い続けるヒロインは美しく、
最高にクールでカッコいい
(月代零)
 武装したテロリストによって無辜の市民が殺される緊迫した場面から、この物語は始まる。
 主人公ルビー・クールの母親はその状況に絶望し、「ごめんなさいね。母親なのに、あなたを守れなくて。一緒に死にましょう」とルビーを抱きしめる。しかし、ルビーは決して絶望したりしなかった。
 ルビーは毅然と言う。
 「あきらめるには、まだ早すぎる。生きているかぎり、戦える。戦う勇気と知恵さえあれば、戦える」
 力強い言葉が、読者の胸を躍らせる。銃口を前に、ルビーはどう立ち向かうのか。文章も読みやすく、思わずページをめくる手が止まらない。
 序章から続く本編でも、ルビーは次々と危機に見舞われる。この序章はどう繋がっていくのか。各章サブタイトルの通り、一つ危機を乗り越えても、絶体絶命の状況が続く。しかし、彼女は怯むことなく、それに立ち向かっていく。
 ハードボイルド小説かと思いきや、思わぬ設定も登場する。突拍子もないように思えるかもしれないが、投げ出さずに読み進めてみてほしい。
 戦い続けるルビーは美しく、最高にクールでカッコいい。彼女の戦いを、ぜひ見届けてほしい。
 
著作紹介3
 『暗闇を撃て』
 
出版社:Kindle版   
出版年:2024/03/19

単行本:256ページ 
価格:¥980   
 
<読者の声>
 
ハードボイルドさも際立つ
不屈の心をもって前進するルビー・クール
(冬鵺)
 自分の人生を歩み始めたルビー・クールの、次なる戦い。今度は、ローゼンベルク夫人の秘密売春組織の一員としての活躍劇である。この物語は主人公の親友、エメラルド・ブロンディーが誘拐されるところから始まる。行動をともにするのは組織の少女たち、野心の強いパール・スノーと、考え深く控えめなサファイア・レイン。奴隷オークションやそのための誘拐を潰すべく、奔走することとなる。
 本作ではマズルフラッシュを狙撃したり硬貨でフェイントをかけたりと、戦闘にも渋い一幕があり見逃せない。命乞いをする悪党を撃ち抜く主人公、死に際に煙草を手にする悪役などハードボイルドさも際立っている。オークション常連客に殺人鬼が何名もいるというおぞましい事実もさらりとまとめる作者の手腕は、いつもながら確かなものだと言えよう。
 「あなた(たち)はもう、自由よ」拉致された少女にも、その流れで情婦となった女性たちにもかける、ルビー・クールの冷徹ながらあたたかな思いが感じられる言葉だ。ローゼンベルク夫人繋がりでの少女やそこで成長した女性たち、売られた少女たち、同学園の風紀委員の少女──少女達のそれぞれの生き様が描かれる。革命とは違った角度からルビー・クールへ成長をもたらすのが今回のエピソード群ともなることだろう。労農革命党と繋がりのある新聞社、かつて登場していたダニエルなど革命者としての影響も強い。ダリアとエルザも顔を出し、前作までのファンへのサービスも嬉しいポイントだ。
 最終的にルビー・クールは自分の店に続き、少女達への支援のための慈善団体を作るという新たな一歩を踏み出す。「自分で選ぶことが、自由というわけね」という台詞の通り、ひとつひとつ進み、彼女自身にも、そうして他の少女たちにも、選択肢を増やしていく。冷静に着実に、不屈の心をもって前進するルビー・クールの次のステップを見ていたい。次は何をするのだろうか。期待して待とう。
 
ど派手なアクションはもちろん、
新たな仲間たちとの連携など見どころが盛り沢山
(絵山イオン)
 ルビー・クールシリーズの新章。
 悪の組織に捕らえられ、オークションにかけられているシーンから物語が始まります。
 絶体絶命の状況だというのに、ルビーは客に強気な発言を繰り返します。
 冒頭からとんでもない展開になっており、ここからどうやって逆転するのか、ワクワクしながら本編を読みました。
 今作は秘密売春組織を取り仕切るローデンベルク夫人の依頼から始まります。
 ルビーの友人、エメラルド・ブロンディが仕事から戻って来ず、行方不明になったため捜索してほしいと。
 ルビーはローデンベルク夫人の依頼を受け、同年代の美女、サファイアとパールを連れてエメラルド捜索にあたります。
 仲間であるサファイアとパールも娼婦でありながら、多少の戦闘訓練と銃器の知識があり、強い女性として描かれています。
 ルビーに「リーダーが誰かはっきりさせようぜ」と出合い頭から肉弾戦を仕掛けるところから、この子たちは活躍しそうだなと思いました。結局はルビーが圧勝し、彼女がリーダーになると予想がついていましたが、すんなりといかず、ひと悶着あるところもシリーズの面白さの一つかなと思います。
 エメラルドを捜索してゆくうちに、彼女が人身売買の被害に遭っていたことが判明し、次第にエメラルドの救出から、オークションを開催しているギャング組織のせん滅とバトルが尽きない内容でした。
 ルビーたちのど派手なアクションはもちろん、新たな仲間たちとの連携など見どころが盛り沢山で、彼女たちの次なる活躍に期待です。
 
闇に弾ける閃光。一瞬の希望を見逃さず、少女は明日を繋ぐ
(木下夜留)
 激動の時代。世が乱れ、人心が乱れ、人を人とも思わない悪人たちが幅を利かせる裏社会。
 弱者は命だけではなく尊厳さえも踏みにじられるが、ルビーの魂を穢すことのできる人間はどこにもいない。彼女は「運命の女神さえ叩きのめして」、ろくでもない人生を自らの意思と行動力で乗り越えていく。
 いかなる窮地に陥ろうと、一筋の光明をもとに突破口を見出すルビー。クレバーな頭脳で最善策を導き出し、か細い光を力強く手繰り寄せて、暗闇を眩しく照らし出す。
 襲いくる災難は、ひとつ火の粉を払ったかと思えば気付かぬうちに大火事が起こっているような忙しさだ。だがルビーは、生き残るための作戦を一瞬で組み立ててみせる。
 苦境に立たされるほど冴え渡る頭脳と大胆な度胸は、生来の気質か、受け継いだ資質か。はたまた「絶体絶命」を無数に切り抜けてきた経験によって磨かれたものか。恐らくそのすべてがルビーの強さの秘訣であり、ご都合主義でない魅力の源なのだろう。人間臭さをまとって戦う彼女に、読者は自分の生と重ね合わせながら確かなカタルシスを得るに違いない。才能と努力によって成長する主人公は、現実世界で同じように生きる多くの人の心に共鳴する。それもルビーの生い立ち、成長過程が丁寧に描かれているからこそだ。
 おぞましい不条理に晒される少女たちを救うルビーは、義憤に駆られはしても常に冷静さを保っている。彼女の活躍は痛快かつ爽快だが、どこか周囲を俯瞰して見ているようなドライさもまた他にない雰囲気の演出に一役買っているように感じられる。情に厚いが感傷は排した絶妙な人物像こそが、一見しただけではわからない、ルビー・クールの求心力の真骨頂なのかもしれない。
 悪徳な刑事や警官、熾烈に争うマフィア共。悪辣な世界で戦うルビーもまた無垢な存在であることは許されず、けれど彼女の生きる場所は悪意ばかり満ち溢れているわけではない。
 与えられた慈愛に敬愛をもって報いようとする者。引き剥がされてより強まる姉妹愛。女学生らしく他愛もない軽口を叩き合うだけの、ただそれだけの平穏な日常。
 ルビーが求めるものはささやかな幸せにすぎないが、生きる意志を持たないものにとってこの世界はどこまでも過酷で手厳しい。悪人は死んだら地獄に堕ちるのか。幸福と不幸は、なにを基準に決められるものなのか。いくつもの問いと向き合いながら、ルビーは自分の足と心で新しい道を開いていく。
 
読み応えのある戦闘シーンの連続
     仲間と共に弱きを助け悪を撃つ(しおんぬ)
 今回はいつも通りに絶体絶命のピンチから始まるかと思いきや、シリーズ上かつてなく丸腰なのにも関わらず、堂々と形勢逆転を宣言するルビーの勇姿から開幕します。シリーズ初期では怯えながらも自分自身を鼓舞して懸命に戦っていたルビーの姿と比べると、非常に大きな成長でもあり、そしてそれだけの下準備をしてからの反撃でもあります。
 ルビーがいくら窮地脱出の経験を積んでも、もっと多くの経験を積んだ先輩方や、より危険な思想と行動力を持つ大物などは存在します。ルビー1人ではできないことも多い中で、多くの味方を得ながら革命の狼煙を上げてきたように、今回はルビーの家系が祖母の代から所属する組織の一員として活躍することになります。
 緻密な作戦を立てては、イレギュラーに臨機応変に対応しながら大きな障害を乗り越えてより強大な敵対組織を壊滅に向かって追い込んでいく。今作はよりそうした戦略面が鮮やかであり、読み応えのある戦闘シーンの連続です。ルビーが今までに切り抜けてきたピンチでの出来事を活かし、一瞬動揺したとしても直ぐに平静を取り戻して新たな作戦を組み立てていく姿は実に頼もしいものになっています。
 本作の魅力は、単純な絶体絶命からの脱出劇というわけではないところでしょう。主人公ルビーが仲間と共に弱きを助け悪を撃つこと。例え無茶な戦いに思えても、善良な人々の命や生活を守るために戦場に挑むこと。その過程で描かれる人間ドラマと、激しくも鮮烈な戦闘シーンの数々です。
 
 
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